この単元の一問目はほぼ確実に「有機化合物とは何か」「なぜ炭素だけが何百万もの化合物を作れるのか」です。 3つの理由を順番に言えるようにしておけば取れます。
Organic chemistry is the study of the structures, reactions and properties of carbon-based compounds.
=炭素を骨格とする化合物の構造・反応・性質を扱う分野。
炭素を含んでいても有機化合物に分類されないものが4つあります。
carbon monoxide(CO)/ carbon dioxide(CO2)/ metal carbonates(金属炭酸塩)/ metal cyanides(金属シアン化物)
「炭素が入っていれば有機」ではない、と言えるかどうかが問われます。
| Bond | Bond energy / kJ mol−1 |
|---|---|
| C−C | 350 |
| Si−Si | 222 |
| N−N | 160 |
| O−O | 150 |
覚え方:350 → 222 → 160 → 150。C−C はケイ素の1.6倍近い。数値を1つでも言えると説明に説得力が出ます。
分類問題は枝分かれの図を丸ごと再現できるかだけです。上から順に「鎖か、環か」→「環なら炭素だけか、他の原子が混じるか」→「炭素だけならベンゼンを含むか」。
acyclic = open chain = aliphatic / cyclic = closed chain = ring
carbocyclic = homocyclic(炭素だけの環) / alicyclic = aliphatic cyclic
① 同じ官能基をもつ ② 隣どうしは –CH2 だけ違う(=一般式で表せる)
③ 物理的性質は段階的に変化(gradation)し、化学的性質は似ている(similarity)
| Class | General formula | メモ |
|---|---|---|
| Alkane アルカン | CnH2n+2 | 飽和・単結合のみ。接尾辞 -ane |
| Alkene アルケン | CnH2n | C=C が1つ。接尾辞 -ene |
| Alkyne アルキン | CnH2n−2 | C≡C が1つ。接尾辞 -yne |
| Cycloalkane | CnH2n | 環が1つ=水素が2個減る(アルケンと同じ式) |
| Alcohol アルコール | CnH2n+1OH = R−OH | 資料に明記。n=1,2,3… で各員が出る |
| Amine アミン | R−NH2 | 資料に明記 |
| Class | Functional group | Suffix | 例 |
|---|---|---|---|
| Carboxylic acid | −COOH | -oic acid | ethanoic acid |
| Ester | −COOR | -oate | methyl ethanoate |
| Amide | −CONH2 | -amide | ethanamide |
| Nitrile | −CN | -nitrile | ethanenitrile |
| Aldehyde | −CHO | -al | ethanal |
| Ketone | >C=O | -one | propanone |
| Alcohol | −OH | -ol | ethanol |
| Thiol | −SH | -thiol | ethanethiol |
| Amine | −NH2 | -amine | ethanamine |
| Haloalkane | −X (F, Cl, Br, I) | prefix: fluoro- chloro- bromo- iodo- | 2-bromopropane |
| Ether | R−O−R | prefix: alkoxy- | methoxyethane |
多官能の化合物では、1つを principal functional group に選び、残りは置換基(substituent)として扱う。
−COOH > −SO3H > −COOR > −COCl > −CONH2 > −CN > −CHO > >C=O > −SH > −NH2 > >C=C< > −C≡C− > −C−C− > R−O−R > R−X > −NO2 > −R
配布資料のこの並びには −OH(アルコール)が入っていません。一般的なIUPACの優先順位では、
>C=O(ケトン)のすぐ次が −OH、その次が −SH → −NH2 と続きます。
試験では資料の並びを優先しつつ、−OH を問われたら「ケトンの次」と答えられるようにしておくのが安全です。
先生に一度確認しておくとなお確実。
Common name=発見者が付けた慣用名で構造とは無関係。Systematic (IUPAC) name=構造から導かれる名前で、 1つの名前が1つの構造だけを表す。ここを説明させる問題がよく出ます。
| n | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Prefix | meth | eth | prop | but | pent | hex | hept | oct | non | dec |
| Alkane | methane | ethane | propane | butane | pentane | hexane | heptane | octane | nonane | decane |
meth / eth / prop / but の4つだけ慣用名由来で不規則。5以降はギリシャ数詞なので、数えられれば書けます。 Alkyl group は語尾 -ane → -yl:methane → methyl、ethane → ethyl。
枝が炭素5個以上の複雑なものなら、その枝自身を命名して括弧に入れる(親鎖の番号と混ざらないように)。
4-ethyl-2-methyldecane をつくる考え方
| 対象 | ルール |
|---|---|
| Cycloalkanes 環状アルカン |
① 同じ炭素数の鎖状アルカン名に cyclo- を付ける。 ② 側鎖が2つ以上なら、次の側鎖が最小の番号になるよう環に番号を振る。 ③ 鎖のほうが環より炭素が多いときは、環を置換基として扱う(cyclohexyl など)。 |
| Alkenes アルケン |
① 二重結合の炭素を両方含む最長鎖を選び、-ane → -ene に変える。 ② 二重結合に近い端から番号を振り、二重結合の最初の炭素の番号を前に置く。 ③ 置換基はアルカンと同じ扱い。 ④ 二重結合が複数なら -adiene / -atriene とし、位置番号を並べる。 ⑤ 枝分かれがあるときの親鎖は「二重結合を最も多く含む最長鎖」。 |
| Alkyl halides ハロアルカン |
① ハロゲンを含む最長鎖を、ハロゲンに近い端から番号付け。 ② fluoro- / chloro- / bromo- / iodo- を接頭辞にする。 ③ 同じハロゲンが複数なら di-, tri-, tetra-。 ④ 種類が違うならアルファベット順。 ⑤ 二重結合があれば haloalkene として命名。 |
1. 官能基(-ol, -al, -oic acid など)があれば、それが最小番号
2. 次に多重結合(C=C, C≡C)が最小番号
3. それも無ければ最初の枝(first point of difference)が最小番号
※ 多重結合の2つの炭素は必ず連番になる。
まず上を見ずに解くこと。命名の問題は、答えをハイフンまで正確に書く練習をしておくと本番で落としません(採点は大文字小文字・空白・ハイフンの有無を許容します)。
構造を見て名前を書く/名前を見て構造を書く、の往復ができれば満点域です。必ず紙に書いてから答えを開くこと。
Draw the structure of 2,2,4-trimethylpentane.
同じ化合物に 2-methyl-4-ethylhexane と 4-ethyl-2-methylhexane の2つの名前が付けられた。正しいのはどちら? 理由も書くこと。
シクロプロパン環(炭素3個)に、炭素5個の鎖がついている。IUPAC名はどう組み立てる?
単元名には Isomerism が入っていますが、配布されたスライドの本文からは異性体の説明が読み取れませんでした (図だけのスライド、または別ファイルの可能性があります)。ここは一般的な内容での補足です。 先生の資料が手に入ったら差し替えます。
Isomers = 分子式は同じなのに構造や配置が違う化合物。分子式が同じでも別物質なので、性質が変わります。
| 種類 | 何が違うか | 例(同じ C4H10 など) |
|---|---|---|
| Chain isomerism 連鎖異性 | 炭素骨格が直鎖か枝分かれか | butane / 2-methylpropane(ともに C4H10) |
| Position isomerism 位置異性 | 官能基や二重結合の位置 | but-1-ene / but-2-ene(ともに C4H8) |
| Functional group isomerism 官能基異性 | 官能基そのものが違う | ethanol / methoxymethane(ともに C2H6O) |
| Cis–trans (geometric) 幾何異性 | C=C のまわりは回転できないため、置換基が同じ側か反対側か | cis-but-2-ene / trans-but-2-ene |
① C=C の二重結合がある(回転できない) かつ ② 二重結合の各炭素に、異なる2つの基が付いている。
片方の炭素に同じ基が2つ付いていると cis / trans は生じません。ここが問われます。
命名で迷ったら、いつも同じ順で手を動かすこと ──
① 最長鎖を数える → ② 端を決めて番号 → ③ 枝を拾う → ④ アルファベット順に並べる。
考える順番を固定しておけば、複雑な構造でも崩れません。